紺色の海、緋色の空
ホテルをあとにした僕とシロナは、通り沿いにあるハイドパークの閑静なケヤキ並木を肩を並べて歩いた。

駅までの途中、シロナはイギリス料理の単調さに不満をこぼし、僕はヌード写真の露出度について力説した。

それからあとは山猫教授の話をした。


「彼はどうしているんだろう?」

と僕が言うと、

「きっとレストランが忙しいのよ」

とシロナは笑った。

「ああ。また集まってるんだ」

「たぶんね」

「あの動物たちが?」

「そうよ」

「君は行かないでいいの?」

「行った方がいい?」

「別に」

僕は肩をすくませた。

シロナはくすりと微笑み、黙って僕に腕を絡ませた。

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