紺色の海、緋色の空
意識が歪む。

記憶が引きちぎられる。

次々と光の矢が僕を追い越していく。

強烈な光がある一点に収束し、まるで霊魂が舞い戻るかのような浮遊感の中で、僕は静かに体を起こした。

その刹那――

僕は、瞳孔を開いて教室の床に倒れているあの男の姿を見た。



男は、まるで死んでいるかのようだった。



ポタリ……

と何かが滴り落ちた。

紅い。

真っ赤な水溜まりだ。

僕はジリと後ずさった。

「これは……」

僕が声を発した途端、再び映像が四散し、僕はようやく意識を取り戻した。

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