紺色の海、緋色の空
分からない。

何が真実で、何が幻想なのか。

僕の記憶は果たして「本物」なのか。それとも、すり替わった「偽物」なのか。

否、

記憶だけではない。

見るもの、

聞くもの、

触れるもの、

何もかもが疑わしく、僕の存在そのものが嘘であるようにすら感じられた。

境界のない、深海の世界。

ゆっくりと、確実に、僕は何かに誘われ、僕の周りが少しずつ変わろうとしているようだった。

僕は再び目を閉じた。

そこには時が止まったままの深く碧い深海が広がっていて、無数の泡が僕をつつみ、何も語らず、ただ静かに揺らめいていた。

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