紺色の海、緋色の空
この街で何をすべきなのか。

そんな単純な目的すら分からぬまま、僕とシロナは石畳を歩いた。

何をすべきか。

何が待っているのか。

ここから先は、「彼女」が僕たちを導いてくれるような気がしていた。

明日か、明後日か、あるいは一年後か。

持ち合わせの資金にはまだ幾らかの余裕があるとは言え、さすがにこのまま一年を過ごすとなれば話は別だ。

もっとも、旅に出ると決めたときからそういう事態も想定していたのだから、今さら慌てる必要もない。

しばらく歩くうちに手頃そうなホテルを見つけた僕は、荷物を取りに来たボーイを手で制し、フロントに向かった。

幸いホテルには空きがあった。

「何泊をご予定で?」

と尋ねられた僕は、いつものように「しばらく」と答えた。

「一日か一週間か一月か。どうも定かではないのです」と。

フロントの女性は笑顔で頷き、宿泊カードを僕に差し出した。

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