紺色の海、緋色の空
「ようこそエディンバラへ」

よく見ると、その水しぶきの中に風見鶏が映っていた。

「どうも」

私は苦笑を浮かべながら、ジーンズの足を組み替えた。

「そろそろかなと思っていたよ」

僕はそう言って頭を掻いた。彼らと話すのは実に久しぶりな気がした。

「旅はどうだい?」

透明色の水しぶきの中で奇妙に姿を歪めながら、風見鶏が僕に尋ねた。

「楽しいよ、でも……」

「でも?」

「そろそろ終わりかな」

「飽きたのかい?」

「いや」

僕は短く言葉を切った。

「君が現れたから」

「なるほどネ」

風見鶏はくっくと喉を鳴らした。

< 193 / 239 >

この作品をシェア

pagetop