紺色の海、緋色の空
「早紀は、何もかもすべてを一人で背負って死んだんだ。僕の罪、早紀の罪、そしてあの男の罪をもすべてかぶってね」

窓の外を泳ぐクジラの姿を見つめながら、僕はゆっくりと息を吐いた。

「本当にそう思う?」

と少女が尋ねた。

「思うよ。少なくともシロナの疑問は正しかったんだ。早紀は逃げるために死を選んだんじゃなかった」

早紀の言葉を思い出す。

『あなたに私の何が分かってるの?』

あれは、決して僕に対する当てつけの言葉ではなかった。

きっと人間は、他人のことなどどれほども分からない生き物なのだ。

家族でも、

恋人でも、

兄弟でも……

分からないから愛し合える。

時に苦しんで、苛立って、嫉妬して、もどかしさや切なさに身を焦がす。

僕たちは、そういう生き物なのだ。

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