紺色の海、緋色の空
僕はおもむろに部屋を出ると、近くにある長坂神社に向かった。
神社は一面の水田の中にあった。
手前に巨大な鳥居が立ち、そこから真っ直ぐ山に向かって伸びる平たい砂利道の先にまた鳥居がある。
神戸にだって、まだこういう場所が残っているのだ。
十年前――
僕達は学校の帰りに何度となくここの鳥居をくぐった。
「今日は星が綺麗に見えそうね」
石造りの鳥居にもたれ掛かり、早紀はよくそんなことを言った。
「そうだね」と僕は答えた。
「ほうき星が見れるかしら」
「どうだろうね」
「興味ないの?」
「別に。それより早紀とキスしたい」
「ここで?」
「そう、ここで」
「少しだけ待って」と早紀は言った。
「神様にお伺いを立てないと」
じっと鳥居を見上げる早紀の髪が、涼しい風の中でふわふわと揺れていた。
神社は一面の水田の中にあった。
手前に巨大な鳥居が立ち、そこから真っ直ぐ山に向かって伸びる平たい砂利道の先にまた鳥居がある。
神戸にだって、まだこういう場所が残っているのだ。
十年前――
僕達は学校の帰りに何度となくここの鳥居をくぐった。
「今日は星が綺麗に見えそうね」
石造りの鳥居にもたれ掛かり、早紀はよくそんなことを言った。
「そうだね」と僕は答えた。
「ほうき星が見れるかしら」
「どうだろうね」
「興味ないの?」
「別に。それより早紀とキスしたい」
「ここで?」
「そう、ここで」
「少しだけ待って」と早紀は言った。
「神様にお伺いを立てないと」
じっと鳥居を見上げる早紀の髪が、涼しい風の中でふわふわと揺れていた。