紺色の海、緋色の空
結局そんな感じで、動物たちは星空を肴に夜を明かし、一人、また一人と静かにレストランから消えていった。

やがて東の空が薄い桔梗色に染まり始めると、一人レストランに残った山猫教授が僕に向かって言った。

「そろそろわしも消えるとするよ」

「ありがとう」

と僕は言った。

「最後に一つだけ頼みがあるんじゃ」

僕は黙って頷いた。

「わしが消えたあと、レストランの灯りと戸締まりをしてくれんか。もう誰もここに迷い込まないようにな」

「……分かった。約束する」

「すまんの」

山猫教授は髭をぴんぴんと動かして満足そうに微笑み、最後にこう言った。

「お別れじゃ」

「ああ」

「それじゃ」

「それじゃ」

「おやすみ」

「おやすみなさい」

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