紺色の海、緋色の空
ロンドンは一番最初に「彼女」が絵はがきを送ってきた場所だ。

絵はがきにはバクがいた。

そういや最近、彼の姿を見かけることがなくなった。もしかしたらシロナと交代したのかもしれない。


ロンドンという選択が正しい道なのかは分からない。

そもそも、「彼女」を追ってイギリスに向かうことにどれほどの意味があるのか。それさえ僕には分からない。

シロナにだって。

誰も明確な答えなど持ち合わせてはいないし、それを彼女に押しつけても何の解決にもなりはしない。

他でもない。

これは僕の旅なのだ。

シロナは何かを知っている。「彼女」も何かを知っている。だけどそれは、きっとまだ今の僕では理解することのできない"何か"であるに違いない。

ともかくロンドンへ。

それ以外に僕が歩き出す手だてはないように思えた。

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