紺色の海、緋色の空
シロナに訊ねても、案の定彼女は首を傾げるばかりだった。

その名前が書かれていた絵はがきの裏には、広大な草原で黙々と草をはむバクの写真が載っていた。

そう。

つまり一枚目の絵はがきだ。

消印はリージェントストリート。それが行き先の決め手となった。



『とどまってはいけないよ、捕らわれてしまうからね』



僕の錆び付いた頭の中に、再びバクの言葉が去来した。

振り向くと、シロナが静かな寝息を立てて僕の肩に寄りかかっていた。

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