紺色の海、緋色の空
僕たちはまだ十五で、待ち受けている未来に何の疑問も持ってなどいなかった。

『僕が早紀を護るから』

僕は確かにそう言った。

でも、その言葉の本当の意味も、重みも、責任も、その頃の僕にはまるで理解できてなどいなかった。

ただそんな優しい言葉を口にして、一人いい気になってのぼせ上って、それだけで大好きな人を護れるような錯覚を抱いていた。


――高校一年の夏、

僕たちは一人の大人によって、すべての未来を奪われてしまった。

その半分はそいつのせいで、残りの半分は他ならぬ僕のせいだった。

そう、

僕のせいだったんだ。

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