恋のSEASON
感じ悪。
あんな風にはなりたくない。

そう思う。





別にさっきのことは気にせず、自分の教室に向かったらすごい人だかり。


いったい何?

と、思ったら全員の視線が私に注がれた。ちょっと怖い。





「あなたが浅塚眞妃琉?」





手前にいた名前の知らない女から呼び捨てでそう言われた。まわりのギャラリーたちも興味津々みたいで目を輝かせて私を見ている。

もし、ここで違うと言ったらどうなるのだろうか。こんな状況ながら、少し興味がある。





でも、私はチキン。
ここで嘘や冗談を言えた性じゃない。





「そうですが・・・何か?」





「うわ、本物!!」


「ちっちゃ~い!かわいい!」


「レベルが違うかわいいさじゃん。」






言われ放題。迷惑だ。




無視して教室に入ったら、
比奈子ちゃんが私のそばに来た。





「眞妃琉、平気?」




心配してくれているらしい。
眉毛をへの字にして、私の顔を覗き込んでくる。





「大丈夫だから。心配無用だよ。」





「そう・・・。」




比奈子ちゃんはそれでも心配みたいで、チラチラとドアにたまる人だかりを見ている。


大丈夫なのに。





「ところで、比奈子ちゃん。あの野次馬たちは何?なんで私を見てるの?」








< 30 / 98 >

この作品をシェア

pagetop