恋のSEASON
頭上から声がした。
聞き馴染みのある声が。





「え!?夏樹さん!?」





あー・・・夏樹くんか。
でもなぜここに?





夏樹くんはウサギ小屋の上から現れた。いや、かっこいいけど何もそんなところから登場しなくても・・・よかったのでは?

とか思う私はきっと乙女失格。



夏樹くんはウサギ小屋の上から飛び降りて、私の横に来た。

やっぱホッとする。





「夏樹さんはどうしてここに?」





ボスちゃんはちょっと上目遣いで夏樹くんに話し掛ける。その控えめな声も縮こませた肩も、さっきとは違う。

・・・気持ち悪い。





夏樹くんは黙ったまま。




するとまた頭上から声がした。



「あちゃ。間に合わなかった。」



またしても聞き馴染みのある声。



「冬矢さんまで!!!」



ボスは目をキラキラさせて、ウサギ小屋の上を見つめている。うしろに構える女子たちも、みんな同じ顔をしている。


おぃおぃ・・・。

あんたたちに会いに来てないのなんか、一目瞭然だって・・・。とか言うと、なんか私が勘違い女みたいだけど・・・実際そうだと思う。




「確か、君は佐藤さんだったっけ?僕の彼女候補生になんか用事?」





へー・・・ボスの名前は佐藤さんだったんだ。初耳。


その佐藤さんは冬矢先輩の言葉で顔を強ばらせた。ちょっと低くて、普段とは違う声色だった冬矢先輩。私も怖いってちょっと思った。






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