恋のSEASON
「放課後にならなきゃいいのに・・・。」






そんな私の願い兼独り言も虚しく、あっさり放課後になってしまった。


憂鬱すぎる・・・。


せめて、冬矢先輩か夏樹くんがいてくれたらいいのにな・・・。叶いっこないけど。



教室で、自分の机に突っ伏してイヤホンで大好きなバンドの歌を聴いていたら、肩を叩かれた。



「迎えに来たよ!!帰ろう、マヒル♪」



もちのろん、春。
顔見ただけで頭痛くなってきた。



「うん。帰ろう。」



音楽を切ってイヤホンを外し、かばんに放り込む。そして、春の横に並んだ。


これから、しばしの地獄・・・。


とりあえず、お互い無言のまま昇降口に向かう。学校では孤高の男を演じたいらしい。だったら昇降口で待っててほしい・・・とか思ってしまう。



「マヒル!さっきは何聴いてたんだ?」



やっと校門を出たところで春が口をきいた。このまま無言のままで・・・という淡い期待はあっさり砕かれた。



「私が好きなバンドの。」



返事をするのも面倒。



「へー。どこ?俺はPクリームが好きなんだよね。」



しゅ、趣味悪い・・・。

なぜにPクリーム?あの気持ち悪いユニット?ぶりぶりのスカートにレトロリボンを頭に乗っけてる、いかにも頭悪そうな女三人ユニット?



「へー・・・そうなんだ。」



顔が引きつっているのが自分でもよくわかってしまう。だって・・・趣味悪い。



「おぅ!中でもやっぱリンリンが一番だな!」



えー!?
あの老け顔のリーダー?
さ、最悪だわ・・・。



「そうなんだ・・・。」





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