恋のSEASON
「うん。臨海広場のそばだから、お弁当はそこで食べようね。」



誘った俺より計画力のあるマヒル。立場がない、俺。



「おぅ。ところで、そのアクアミュージアムって水族館なのか?」



「えっとね・・・うん。本物のお魚も展示してあるみたい。でもね、それ以外にもシアターとかあるみたいだよ。すごいね。」



「いろいろ見て回ろうな。」



「うん!」



まるで恋人みたいな会話。
なんかそれだけで心が弾んでる俺はかなり単純だ。



マヒルは俺が落ち着いている寡黙な男だと思っているようだけど・・・まぁ実際そうだけど、マヒルの前だとそうも言っていられないことのほうが多い。



冬矢、春、秋斗、あの・・・宇巳とか言うの、原さん・・・そのほかにもマヒルを狙う輩は多い。



マヒルは自分のかわいさをわかっていなさすぎる。原さんの苦労が目に浮かぶ。

きっと、色んな虫からマヒルを守っているに違いない。俺としてはありがたいけど、それを抜きにして考えてみると・・・原さん、ガンバ!みたいな。



そんな原さんがデートに行くことをごちゃごちゃ言いながら許してくれた。

これはほかの輩より、一歩・・・いや、二歩くらいリードしたな。






とまあ、原さんの話はともく。



マヒルといるといろいろ喋ってしまう。聞きたいこと、聞いてほしいことが満載。

だけどマヒルは割と静かで落ち着いている男が好みなんだよな・・・多分。

だって、春とかすごく嫌ってるみたいだし。あいつのペラペラ加減は俺も呆れるものがあるが。ベタベタする秋斗もダメみたいだし。


だから、なるべく口がペラペラ動かないように案外必死なんだ。



「ねぇ、夏樹くん。夏樹くんて好きな歌手とかいる?」





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