恋のSEASON
なーる。
ポストの表札見ちゃったよ的な。……ポスト!余計なことを!
「でも浅塚さんタメじゃん?せっかくだから親しみを込めたいし、名前教えてよ♪」
って軽ーー!!!
なにがなんでも私の名前聞き出すつもりなのか…。もしや、ねばるほうが無駄?
っていうかね?
「あの、ずいぶんと私の名前知りたがってますけど…あなたこそ名前は?」
私、あなたのこと知らないから。
見ず知らずの男にそう簡単に名前は言わないよ。顔はべらぼういいけど。はっきり言うとタイプだけれど?
「え?言ってなかった?
俺は井上春(イノウエシュン)。井戸の井に上に春!浅塚さんは?」
へぇ。名前もなんかかっこいい。
「浅塚眞妃琉。漢字の説明は面倒だからしない。」
私は無愛想にとりあえず名前だけ伝えた。
「マヒル?なんかかわいい名前だね。」
「どうも。……もういい?腕を離して欲しいんだけど。」
痛いから。
掴まれてる腕が。一刻もはやく離して欲しい。
「あ、ゴメン!」
案外すぐに離してくれた。
で、やっと部屋に帰れるって思ったのに…