さよならを教えて
ある春の日
「薫ーっ!」
後ろから聡子の声がした。
聡子の声ってば
もう、大っきいよ…。
「ねぇ 今日来てるらしいよ」
体育館の階段前で
私に追いついた聡子。
やけに声が弾んでる。
「誰が?」
「新しい先生。
さっき職員室行ったら、
ヤジマの机に座ってた」
タンタンタン、と階段を上がって
体育館の入り口まで来た
私と聡子。
今日はほんっと、いい天気!
冬は冬眠したいくらい
何もする気が起きなかったけど
春はやっぱり
私の季節って気がする。
中ではバスケ部のみんなが
いつものように
ストレッチを始めていた。