only one
人形のように動かない体。
閉じて開かなくなった唇。
心の中で涙は流れても瞳はいつも乾いていた。
本当に感情をなくした人形になった私。
隗夢はそれを喜んだ。
人形になって言いなりになる私。
隗夢は玩具箱の奥から忘れていた玩具を見つけたときの子供のように喜んだ。
半年忘れられた存在だった私。
そして今隗夢の目の前にいるのは感情を閉じこめてしまった人形の私。
「お前は嫁に行くんだよ。お前の母親と同じように年の離れた金持ちにな。」
負債の清算に私を売った隗夢。
私はずっと人形でいい。
ずっと心は誰にも見せずに生きていけばいい。
もう自分を諦めるしかなかったんだ。