only one
覚えている...。
微かだけれど小さい頃心待ちにしていた人がいたことを、私は覚えている。
「お綺麗になられて...。」
浴槽の中に体を沈めたまま私は仲村さんの言葉に頬が熱くなるのを感じた。
面と向かって言われると照れてしまう。
ましてや今私は泡で隠されているとはいえ何も身に着けていない。
俯き何も返答出来ない私に仲村さんは背中を向けて話しかけてきた
「私は先に出ています。シャワーを浴びたら声を掛けてください。」
彼の後姿に少しの間目を奪われて後私は言うとおりシャワーで泡を流した後声を掛けた。
「ここから先は話してはいけなかったのですよね?」
彼の差し出すバスタオルを受け取りながら私は小さな声で彼に話しかけた。
「えぇ部屋にはカメラが設置されています。何か聞いておきたいことはありますか?
私も以前から遥夢様を知っているということは隠してこの屋敷に勤めてまいりました。
遥夢様もそのおつもりでいてください。」
私の質問に早口で答えた後余り時間がないと付け加えた仲村さん。
私はひとつだけどうしても知りたい事を聞いたんだ。
「私はここで何をすればいいんですか?」