only one



「失礼致します。」


仲村さんは言葉の後ゆっくりと歩き出した。


広い部屋の中央に置かれた小さなテーブル。


部屋の大きさに比べて小さなテーブルはとてもアンバランスに見えた。



でもその小さなテーブルに座っている男の人こそがこの家の主、ご主人様なのだろう。



私は緊張のため仲村さんの腕の中で体が硬くなっていくのが解った。




いくら大丈夫だといわれても緊張せずにこの場にいることが出来る人間なんていないだろう。


広い部屋の中央まではいくら部屋が広くてもすぐに着いてしまった。




椅子にゆっくりと下ろされ正面を見ると白髪の老人が私を暖かい眼差しで迎えてくれた。




と、同時に仲村さんも私の肩をポンと優しく叩いてくれた。




緊張することないですよ。


大丈夫ですからね。



そう言ってくれているような仲村さんの行動。



私は一気に肩の力が抜けるのが解った。



一瞬に今までの不安や恐怖がなくなったんだ。










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