only one
「はじめまして...」
挨拶をしようと立ち上がる私の言葉を遮るように老人の声が部屋に響いた。
「準備はもう済んでいるな。仲村以外の人間は部屋から出てくれ。」
ピリリと緊張感が走った。
何か私はいけないことをしたのか?
気に触ることをしてしまったのか?
胸がドキドキと痛いくらいに動いている。
「遥夢様、お座り下さい。」
仲村さんが私の肩に触れてから言った。
お嬢様は足がお悪くて歩けませんでした。
仲村さんの言葉が私の頭の中で響いた。
この部屋に来る前に聞いていたこと....
立ち上がったりして私ったら...
自分の大きな失敗に気づいて縮こまる私の頭の上から仲村さんのクスクスという笑い声が聞こえた。