only one
「ち...違うんです...。」
鼻を啜りながら必死に仲村さんのスーツの裾を引っ張った。
今にも旦那様に掴みかかりそう仲村さんの勢いに私はビックリしたんだ。
「遥夢様、どうか今は黙っててください。」
私の言葉には全く耳を貸そうとしない仲村さんを私はもう一度制止するために立ち上がった。
勢いよく立ち上がった私のせいで椅子は床にひっくり返った。
大きな音が鳴りどうにか私に目を向けてくれた仲村さんに向き合って私は勢いのままに話したんだ。
「旦那様は何も悪くないんです。
私が...私が勝手に泣いたんです!!」
私の勢いに一瞬怯んだ仲村さんだったが強張った表情はすぐに崩れて目を細めて私を見つめてくれた。
そして何もなかったの用に話したんだ。
「お茶にしましょうか。」
テキパキとお茶の準備を進める仲村さんに私は一瞬ついていけずにただその場に立ちすくんでいた。