only one
天国の中の悪夢
写真の女の人はとても素敵な笑顔で写っている。
誰からも愛され慈しまれているのが写真を通しても解るような優しい微笑み。
「この方がお嬢様です。
とてもお優しいお方でした。」
ページを捲る仲村さんは目を細めて写真を見ていた。
仲村さんは私がここに来るからこの家に潜り込んだと言った。
どうして?
この人をそんな愛おしいそうな顔で見るの?
わからない...。
わからないよ..仲村さん。
「遥夢様?」
俯いたまま唇を噛み締める私の肩にそっと手を置いて仲村さんが私の顔を覗き込んだ。
「イヤです。
見ないで下さい。」
「どうされたのですか?」
私の瞳からは涙が溢れ出て頬を濡らしていた。
ギュッと唇を噛み締めることで我慢していた涙が仲村さんの暖かい手のぬくもりで決壊したんだ。