only one


黒い闇が私の背後から物凄いスピードで追いかけてくる。


遠くに見える光を目指して私は足を動かした。


闇に飲み込まれたくなくて、光の中で生きたくて走った。


もつれそうになる足。

苦しくて潰れてしまいそうな胸。

膨らむ恐怖心。


それでも希望は失いたくなかった。


光の中に行きたかったんだ。



ゴォッと音を立てながら近づく闇に背を向け、ただ走った。




「そこまでだ。」


闇の恐怖に怯えながら走る私の前に立ちはだかるのは、


「ディアス?」


「もう十分だ。そんなに自分を苛めるもんじゃない。」


「??」


「ちゃんと俺の声を聞け。」


「聞こえてるよ?」


「耳を傾けてくれ。」


「だから、ちゃんと聞こえてるってば!」


「わかんねぇ奴だな!
早く目を覚ませって言ってるんだ!」



言葉とともに私の額を指先で弾くディアス。

いわゆる、デコピンをくらった私はあまりの激痛に、


「痛いッッ!!」


目が覚めた。





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