only one
「遥夢のマツへの想いが強くて悪夢を引き寄せるんだ。
その悪夢を見なくなる頃が遥夢からマツの思い出が完全に抜けたって証になるだろうな。
それまでは遥夢は悪夢に悩まされると思う。」
ディアスはとても言いにくそうに話してくれた。
「じゃあ、悪夢から解放されることはないわ。」
だってマツへの想いはたとえ彼との思い出がなくなっても変わらないもの。
「記憶と心は別物だ。
記憶の中からマツがいなくなれば悪夢を見ることはない。」
そんなもの?
なんだかよくわからないよ。
「悪夢を見たくなければ、思い出話はやめて今すぐにでも俺はお前の記憶を抜くことが出来る。
どうする?」
遥夢が決めることだってディアスは言葉を紡いでアクアブルーの瞳を私に真っ直ぐ向けていた。
「悪夢なんて怖くないよ。
それに、夢の中でもディアスは私を助けてくれるってわかったから…
私の話をまだまだ聞いて欲しいの。」
キッパリと言い切る私にディアスはニヤリと笑って言った。
「デコピンが癖になるかもな。」