only one
「ふふ…
なんか調子狂っちゃう」
口の悪い意地悪なディアスはやっぱりマツの大切な人なんだな
ディアスもマツを大切に思ってくれているんだなって感じて、なんだかすごく嬉しかった。
「なんだよ、てめぇは可愛くねぇな…」
マツがどんな風に生きてきたのか少しだけわかったよ。
私はいつも光を求めて闇から逃げていた。
マツは力を抑えることで闇の中でひっそりと生きることを望んでいたんだね。
きっと悪夢の中の追いかけてくる闇はマツの大きくなる力。
自分の存在を闇の中に放り込むことで人を苦しめずにすむと考えたあなたの優しさだったんでしょう?
抑え込んでも膨らむように大きくなる力をあなたは恐れていたんだね。
光を求める私と闇を求めるあなた。
対照的な2人だから惹かれあったのかもしれないね。
「ディアス、やっぱり記憶抜いていいよ。」
「思い出話はもうおしまいか?」
「うん。記憶戻ったときにマツと一緒に聞いて欲しいの。」
「そんなこと言って本当は、てめぇ悪夢が怖いんだろ。」
からかうようなディアスの言葉。
本当は私の気持ちなんてお見通しなのにね。
「悪夢よりディアスのデコピンが怖いかな?」
くすくすと笑いながら話す私を目を細めて見つめるディアス。
その優しい表情はマツとよく似ていた。