only one
男は真っ赤なスーツに身を包み髪の色もスーツの中のシャツも靴下も全て赤色の物を身につけていた。
極めつけは足元でピカピカと光る真っ赤なエナメルシューズ。
頭の先から足の先までが全て赤で統一されていた。
余りの恐怖に男の姿を気にも止めていなかった私。
でも部屋から出た安堵感とマツに逢えるという嬉しさから私の頭は少し冷静になり男の全身赤づくめの姿を瞳は捉えた。
気持ち悪いほど赤に染め上げられた男の顔もよく見るととても整っていて形のよい眉の下にはつり上がった鋭い目があり筋の通った高い鼻に薄い唇
端正で綺麗だと思わせる顔だった。
全身を赤で統一している個性的なファッションとギラギラと輝く狂気に満ちた瞳が男の魅力を半減させている。
恐怖心を煽るのは薄い唇の端を持ち上げる笑みと深い藍色のギラついた瞳。
マツとは違う。
優しいマツに早く逢いたいと心から思った。