only one
喜び、怒り、哀しみ、楽しみ。
感情を取り戻した遥夢。
哀しみは遥夢にはいらない。
俺が守ってやるから…
遥夢の哀しみは俺が全て取り除いてやる。
遥夢と過ごす度膨らむ気持ち。
「少しずつ俺を知って、遥夢の瞳に俺を映して欲しい。」
俺って我慢の足りない奴なのな…。
遥夢の笑顔を見ていると俺は我慢が出来なかった。
一緒に過ごす度綺麗になっていく遥夢。
日に日に感情を取り戻す遥夢。
屋敷に来て3ヵ月がたった頃、俺は遥夢を抱き寄せて
「好きだ。」
と口にした。
驚いたように瞳を大きく見開く遥夢。
だけど遥夢は俺に体を預けた。
「マツが好き。」
俺の胸に顔を埋めて小さく呟くように話す遥夢。
隠れてしまって、その表情は見えなかったけど耳が真っ赤に染まっていた。
「マツが好き…。」
返事を期待して言った訳じゃない。
だから俺は戸惑い、何も言えなかった。
そんな俺に再度掛けられた遥夢の言葉。
顔を上げ、俺の胸元から覗く遥夢の表情は赤くて瞳は潤んでいた。
ずっと好きだった。
一緒に過ごす時間が増える程、想いは溢れだし我慢に限界を感じていた俺。
そんな俺が遥夢の言葉に我慢なんて出来るはずもなく、遥夢を腕に閉じ込めたままその唇を塞いだ。
「ふ…んん…。」