only one
店を飛び出した俺。
「待て!」
俺を追い掛けて橋本さんの声が響いた。
もう我慢しなくていいんだ。
俺は橋本さんの前で力を解き放った。
「お前は何者だ。人間ではないのか?」
グレーの瞳に映る困惑した橋本さんの表情。
グレーの髪が風になびいた。
「俺はこの世界に運命の女を捜しに来た。
遥夢は俺が守る。
彰人には遥夢を連れて行くと伝えてくれ。
それと、あの家の後継者は彰人だと言うことも。」
「待て!」
掌の力を解放した俺は屋敷に移動した。
空間を裂き、瞬時に移動する力。
これを目の当たりにしたら俺の話を信じるだろう?
いくら橋本さんでも…。