only one
マツは軽々私を抱き上げて壁の黒い影を見た後私に言ったんだ。
「しばらくは遥夢が帰りたがっても帰してやれなくなるぞ。
本当にいいんだな。」
心配性なマツ…
マツがいてくれるだけでいいって何度も言ってるのに…
「いいの!!」
私はマツの首に腕を回してギュッとしがみつきながら言ったんだ。
「遥夢…くっついてくれるのは嬉しいけど…
首は痛ぇよ…」
「ごめんなさいっ!!」
慌てて離れようとして体を反らせたんだ。
「あぶねっ…」
体がグラリと揺れてバランスを崩しながらもマツは私を腕に抱いたまま状態を整えた。
そして私を落とさないように前進したマツの足。
私はマツに抱きしめられたまま壁の黒い影の中に飲み込まれたんだ。