only one
「目が覚めましたのね?」
長い長い夢を見ていたのか?
意識がまだハッキリとしていない。
「夢ではありませんわ。わたくしがあなたの記憶を抜くために眠りながら今までの事を頭の中で復習して頂いたのですわ。」
一石二鳥ですわって声高らかに話すデリーの姿に俺は今の状況を把握する事が出来た。
病院にいるんだな。
「遥夢は?」
「目覚めて一番の言葉が遥夢さんですの?
ご自分の首は気になりませんの?」
「病院ってことはちゃんと治療できたんだろうよ。
それより遥夢はどうしてる?
元気にやってるのか?」
「遥夢遥夢って…。
わたくしという者がありながら酷いわ!」
俺に縋りつくデリー。
「ごめんな、デリー。
そうだな。俺が悪かった。」
なんてこれっぽっちも思ってねぇがデリーに合わせて話してやった。
困惑顔のデリー。
これも俺の記憶が正常なのか試してるんだろ?
「遥夢さんも兄と幸せにしています。
わたくしの事も遥夢さんに負けないくらい幸せにして下さいませね?!」