only one



影の中はトンネルの中にいるように薄暗かった。


マツに抱きあげられたままぐにゃりぐにゃりと歪む視界に乗り物酔いのような感覚が私を襲った。


「気持ち悪…いよ。」


「悪ぃ…準備が整う前に入っちまったから今はどうにもできねぇ。」


息苦しさを感じてマツの肩をギュッと掴む私の唇に自分の唇を寄せて空気を送り込んでくれる。


「そのまま目閉じてジッとしてろ。」


マツの言葉を薄れゆく意識の中で聞いた。



瞳を閉じてマツのぬくもりだけを感じながら私は意識を手放したんだ。







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