only one
「懐かしいよ、その話し方。」
俺の言葉に頬を染めてふいと顔を背けた。
「苦労してたっけな。」
「わたくしは優秀な生徒でしたから問題はありませんでしたのよ。」
よくいうよ。
乱暴な言葉の最後に『ですわ』をつけて話すデリーをみんな心配してたんだぜ?!
「お前、なんで急に俺達の真似をやめたんだ?」
「売ってないってわかったからですわ。」
「売ってない?」
話がよめねぇ。
ん?待てよ。
確か子供の頃デリーは信じてたっけ?
「ショックでしたわ。
わたくしはお父様に騙されていたのですわ。
大きくなったらデパートで買ってやると言われていたのです。
だけど、売ってるわけありませんよね?
体の一部なのに…。」
小さい頃3人でよく風呂に入った。
そのたびに小さなデリーは俺やディアスの大事なところを摘んだり引っ張ったりしながら言ってたよな。
「どうしてデリーはディアスやマツと違うの?
デリーも欲しい!がお前の口癖だったな。」
「えぇ、楽しかったですわ。
いつも3人一緒で、何をするのにも責任のない頃でした。」
「そうだな。」