only one
責任のない頃か…。
確かにそうだった。
「だけど今は違いますわ。
マツはまだ逃げるおつもりですか?
遥夢さんからも逃げるつもりですの?」
「いや…
逃げねぇ。
遥夢からは逃げらんねぇ。」
逃げたくねぇ!
「デリー、すぐに退院だ!」
「はい。
ですが、行き先は?」
「決まってんだろ!
遥夢のところだ!」
ボカッ!
俺の言葉に間髪入れずに頬にデリーの拳が食い込んだ。
「冗談だろ!
何も本気で殴ることないだろうが!!」
頬を押さえつつデリーを睨みつけながら言う俺に、
「さっさとしやがれませ!」
ツンと澄ましてデリーは病室を出て行った。
親父に逢う。
緊張しねぇって言えば嘘になる。
けど、逢わねぇ訳にはいかねぇ。
遥夢、待っててくれ。
お前のところに行くからな。
すぐにお前を迎えに行くからな!