only one
耳に響くデュランの言葉。
そうだ。
それが俺。
「ですが、あなたはもう一つの自分をお持ちになった。
人を愛することの出来る人になって帰ってこられた。」
「人を愛する?」
「そうです。
運命の人に出逢われたのでしょう?」
「あぁ…。」
「その方の為にも、あなたはしなければならないことがあります。」
「わかっている。」
不本意ながら後継者としての道を進まなければならないってことくらいわかっている。
「もう逃げねぇよ。」
俺の言葉にデュランは大きく頷き、
「安心しました。」
落ち着いた声を落とした。
その後は会話が続かず、俺は狸寝入りを決め込み。
着いた先は、
「どこだここは?」
デカい建物の前だった。
なんのデザインも施されていない大きな四角い建物。
窓も少なく、閉鎖的な作りに圧倒された。
「前にお話したと思いますが、研究所です。」
「あ゛?」
「伝説の騎士をここで研究するために作られた建物ですよ。」
「ほぅ…。」