only one
「どういうことだ?」
「あなたの記憶を抜くということは遥夢様の存在を無くすということです。
そうなると、あなたは心に無意識に穴を開けてしまう。
それが無気力につながればあなたの力は暴走する恐れがあります。」
俺の問い掛けに遠慮がちに言葉を選んで応えるデュラン。
「要するに、大事な玩具を取り上げられて泣き叫ぶ子供みたいになることを心配してるってことだな?!」
「少しニュアンスは違いますが、近いですね。」
「なら心配いらねぇ。
俺はもう一度遥夢に逢って、また遥夢と恋をする。」
「遥夢様が違うお方を見ていたらどうするのです?」
「そんときゃ力ずくで奪うだけだ。」
「それが暴走です。」
「あ゛?」
遥夢が他の奴を見るなんてねぇだろうが!
俺達は運命で決められてるんだろ?!
「俺と遥夢なら大丈夫だ。
必ず繋がっている。」
「そうだといいんですが…。」
「あ゛?」
「いえ、そうですね。」
言葉を言いかえるデュランに俺は笑った。
もしも遥夢が俺じゃない男を瞳に映しても、最後が俺だったらいい。
本当はぜってぇそんなこと許せねぇが、
「俺はぜってぇ遥夢と一緒になる。」
ニカッと笑って言ってやった。