only one
「それより、兄様が伝説の騎士だって聞いて、僕、驚いたんだよ!」
なのに何も変わってないんだねって残念そうに話すマーフィー。
「あら、また髪の色が変わるって聞いたわよ?!」
「ホントに?」
「えぇ、瞳も髪も黒になるんでしょ?」
早く見たいわって呑気な口調で話す母さんに俺は驚愕するしかなかった。
ギロリとデュランを睨みつけ、
「説明してもらおうか?デュラン君。」
あえて、丁寧に話しかける俺。
「あの時とは研究の進み具合が違いまして…」
ごにょごにょと言い訳をするデュランの言葉は最後には何を言っているのか聞き取れないくらいに小さいものだった。
運命の女と結ばれると元に戻るっつってたよな?
だから異世界で運命の女を探すんだとも…。
そうしなければ髪も瞳も黒のまま、伝説の騎士とやらを皆に晒して生きなければならないと、ご丁寧に脅してくれたよな?
「嘘だったのかよ!」
「いいえ、滅相もございません。
ただ…。」