only one


「マツ!
どうして一人で全部食べてしまうのですか?!」

デリーの喚き声に考え事を中断してテーブルに視線を向けると、


「悪ィ―…。」


だし巻き玉子が盛られてた皿は綺麗に空っぽになっていた。


「わたくし、まだ一切れしか食べていませんのに!」


ガミガミと噛みつくデリーに俺はうんざりとして席を立った。


「悪ィ―…。
考え事してたら食っちまってた。
無意識だから許せ。」


つぅか頭が痛い。


さっきからガンガンと頭の中で音が響く。


「大丈夫ですの?」


寝室の扉の前で俺を追いかけてきたデリーに声を掛けられた。


「あぁ、ちょっと寝かせてくれ。
ピクニックは準備がまだかかるんだろ?
それまで寝かせろ。」


デリーの方を見ないまま話して、俺は部屋に入った。


閉じたドアの向こうから心配そうなデリーの声がして、


「後で様子を見に来ますわ。」


だけど、俺は返事をせずにベッドの上に倒れ込むように転がった。







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