only one
「マツ、具合はどうですの?」
トレーをベッドの横の小さなテーブルに置いたデリー。
俺はいつの間にか眠っていたのか?
「悪ィ、寝てた。」
「いいんですのよ。
疲れてましたのね。」
やけに優しいデリーに戸惑いを感じた。
「なんか企んでねぇか?」
だから思った事をそのまま口にした。
デリーが優しいなんて、なんか裏がありそうだ。
「失礼ですわ。
心配しましたのよ?!」
唇を尖らせて話すデリー。
「違う!」
「なにがですの?」
俺の声に驚くデリー。
違うんだ。
「拗ねる時は唇を尖らせるんじゃなくて、頬をぷくっと…。」
膨らませる?
あー…。
頭痛ぇ…。
「悪ィ、寝るわ。」
「えぇ、今日はピクニックは中止にしましたの。またマツの体調のいい日に行きましょう。」
俺の返事を待たずに部屋から出て行くデリー。
俺はデリーの背中を見つめてから瞼を閉じた。