only one


デリーに感じた違和感の意味がわかった。


俺がからかうと唇を尖らせて拗ねるデリー。


けど遥夢は違う。


頬を膨らませるんだ。


「遥夢、やっぱ記憶無くしたまんまだともったいねぇな。」


「?」


「俺、遥夢と一緒にいたんだと思う。」


「はい。」


俺の仮説に納得したように返事をする遥夢。


遥夢も同じように感じているんだよな。


「遥夢と俺がどんな風に過ごしたのか忘れたままってスッゲもったいねぇだろ?」


「はいっ。」


「じゃぁ誓えよ。」


「え?」


本当は少しだけ記憶を無くしたままでもいいって思ってたんだ。


俺と遥夢が同時に記憶を無くしたなんて、きっと何かあるとしか思えない。


その何かってものがとてつもなく大きな力だと思えてならないんだ。






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