only one
だけど遥夢はふるふると首を左右にふって俺に抱きついてきた。
「マツさんが好き。
絶対に離れない。
ずっとずっと一緒にいたい。」
極上の言葉を口にしながら、俺の胸に顔をうずめた。
そして、涙を堪えながら笑ったんだ。
「遥夢。」
「私も同じ事考えたの。記憶が戻ってマツさんに嫌われたらどうしようって同じ事を思ったの。
だけど、きっと大丈夫だよ。
無くしても、何もないのに…。
私達同じ事感じているんだよ。
だからすごく嬉しかったの。
マツさんと同じだって知って、とっても嬉しかったの。」
言い終わった遥夢の頬に伝う涙。
俺は遥夢の頬に唇を寄せてその涙を掬い取った。
こんな風に遥夢を抱きしめたことがある。
遥夢の涙の味を俺は覚えている。
「遥夢、ずっと一緒だ。何があってもお前を放さないからな。」
「はい。
ずっと私はマツさんのそばにいます。
いさせて欲しいの。」
お互いに気持ちを確かめ合ってキスをした。
涙の味のするキスはととも懐かしく、そしてとても気持ちよかった。