only one
家に帰ろうとわざと大きな声を出して足を進める俺と遥夢。
二人が隠れる気の横を何もない素振りで通り過ぎて背後に回って声を掛けてやった。
「気付いてたのか?」
「声、でけぇんだよ!」
ディアスの驚きの声にサクッと返答する俺。
デリーは驚きのあまり声も出ないみたいだ。
「ディアスさん、話して下さい。」
何か知っているんでしょう?と遥夢に詰め寄られ、
「研究所で全て話しますわ。」
ずっと黙っていたデリーが応えた。
研究所?
首を傾げる遥夢にデリーはニッコリと微笑んで、
「ついてくればわかりますわ。」
曖昧な言葉を落とし、遥夢と手を繋いだ。
「では、お兄様お先に。」
「おいっ!待てよ!」
ディアスの静止の声を聞かずにデリーは掌から光を放ち、
「消えた…。」
そう、遥夢と一緒に姿を消したんだ。