only one


「どういうことだよ!
遥夢はどこに行ったんだ!!」


ディアスの胸ぐらを掴んで揺さぶる俺に、


「不本意だが仕方ない。」


ポツリと呟いたディアスに手を握られた。


「てめっ…放せ!コノヤロウ!」


ふりほどこうとして、


「遥夢とデリーを追いかけるぞ!」


ディアスの言葉に一瞬抵抗の手を緩めた俺を包む光。


ディアスの掌からは眩しい光が放たれ、俺は抵抗するのを忘れて目を閉じた。


目の前に見えるのは無機質な作りの建物。


「俺、ここに来たことあるか?」


見覚えのある建物に疑問を抱いた俺はディアスに尋ねた。


「ある!
つぅか…お前ここに来た手段をもっと驚けよ!」

ディアスはくすくすと笑いながら俺に応える。


手段つぅか、目の前に急に建物が現れて、それを知っている気がするんだ。


「聞きたいことを聞いて何が悪い。」


悪態をつく俺にディアスは、


「お前らしいけどな。
マイペースなところは変わんねぇな。」


知った風な口振りで話した


「入るぞ。ここが研究所だ。」


門に掌をかざし、自動的に開いた門をくぐるディアス。


門をくぐると懐かしいような、それでいてなんだかムカつくような複雑な気持ちになった。


「なんか懐かしい気もするし、ムカつく…。」


自分でも理解しがたい感情をそのまま口にすると、


「ぶはっ…
それわかるわ。
その気持ちで正解じゃね?」


ディアスは噴き出しながら意味不明発言を返してきた。


建物の中に入るとエントランスに遥夢の姿を見つけた。


「マツさん!」


俺の側まで駆け寄ってくる遥夢。


俺は手を広げて遥夢が来るのを待った。


「マツさん!」


遥夢の後ろから同じように駆け出してくるデリー。


遥夢を受け止めて、俺はデリーをよけた。







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