only one


あの日、マツは変化した。


とても珍しく、そして綺麗なグレーの瞳。


そしてグレーの髪。



だけど、その一瞬だけ。

それに今はまた、黒髪に黒の瞳だ。



「それが騎士と乙女の証ですわ。」


「そんなこと…。」


「信じられなくても信じてもらわなければいけませんの。」


時間がありませんのよってデリーさんの少しキツい口調に私は何も言えなかった。



「マツはこれから力の制御のためお兄様とお父様と一緒に訓練場に籠もりますわ。
しばらく逢えませんが遥夢さんにもその間に習得していただかなければならないことがありますの。」


「訓練?習得?」


「はい。二人にはこの国で重要な役割があるのですわ。
そのためにしばらくは離れて暮らさなければなりません。」


デリーさんの言葉にグラグラと心が揺れた。


マツと一緒に生きたいと、その想いだけではいけないの?


また離れなくちゃいけないのはどうして?







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