only one
「乙女はその身も心も騎士様に捧げなければなりません。
乙女の失脚は騎士様にも影響を及ぼします。」
厳しい口調のアル。
「私はマツだけよ。」
私もアルにキッパリと言葉を返すと、
「では、私があなた様を今この場で私のものにしたいと考えたら…」
ドサリとベッドに体が沈められた。
「あなた様はどうなさいますか?」
私を組み敷くように覆い被さるアル。
抵抗できないように頭の上に縫いつけられたように腕を拘束される。
「どうなさいますか?」
驚きのあまり動けない私の顔に自分の顔を近づけて話しかけるアルの冷たい瞳にゾクゾクと悪寒が走った。
だけど、同時に私の頭で響くのは聞いたことのないメロディーで、私は無意識に歌を口ずさんでいた。
聞いたことのない音。
聞き慣れないメロディー。
耳にした事のない不思議な言葉の羅列。
なのに懐かしい。
そして、あたたかい。
体に熱が戻っていくのがわかった。