only one
体温を取り戻し、体が熱くなる。
恐怖がその熱で溶かされていくような気がした。
大きく響く音がやんで頭の中に戻る静寂。
そして気がつけば私の体は光に包まれていた。
あたたかい、優しい光。
「マツ―…。」
まるでマツの腕に抱かれているような心地よさに私は遠のく意識の中愛しい彼の名を呼んだ。
だけど、意識を手放すより一歩先に頬を強く打たれ痛みに顔を歪めると、
「後少しです。
頑張って下さい。」
あたたかい眼差しでアルに見つめられた。
音を聞いてから、私が歌ってから全てがあたたかいものに変わる。
そんな風に思いながらアルを見つめ返すと、
「熱い―。」
いまだ拘束され体を重ねる私とアルの密着した腹部にとてつもない熱を感じて私はまた顔を歪めた。
「この熱を受け止めて下さらなければあなた様は乙女として一人前にはなれません。」
アルの言葉を聞いた瞬間腹部に熱の塊が埋め込まれるような衝撃を感じた。
「っ…――!」
そして激痛と熱に襲われて体がショックでブルブルと震えだした。
「あと少し、もう少しだけ我慢して下さい。」