only one


あまりの激痛に体を捩らせようとする私をアルは動けないように更に私を押さえつける。

体を組み敷かれ両手両足も押さえられた私は唯一動く首を振って痛みに耐えた。


「受け止めて下さい。
この熱はあなたを守る力になるでしょう。
この苦しみの先に騎士様との永遠があるのです。」


アルの必死に紡がれた言葉を聞いて私は頷く事で応えた。


だけど、既に体力は限界に達していて


「マ…ツ…―――。」


彼の名を呼んで、意識を手放した。




―――――
――――
―――



「遥夢?」


訓練場ディアスと対峙する俺の頭に響く愛しい遥夢の声。


何かあったのか?


苦しそうに掠れた声が聞こえた。


「聞こえたか?」


動きを止めた俺にディアスは


「遥夢も頑張ってんだよ。」


全てを把握したように言葉を紡いだ。


あの苦しそうな遥夢の声が耳の奥で何度も繰り返される。


「いったい遥夢に何があったんだ!
遥夢に何をさせている!答えろ!ディアス!」









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