only one
デュランの言葉に耳を貸さずに扉に向かう俺。
話して解らないなら強行するまでだ。
「そこをどけディアス。」
静かに、けれど唸るような声を上げてディアスを睨みつける。
扉の前に立ちふさがるようにしてニヤリと笑うディアスは、
「荒療治になるけど仕方ねぇよな。」
首だけ動かしてデュランに話しかけた。
「どけ!ディアス!」
「それは出来ねぇんだよ!」
大声で俺を威嚇するように言葉を落とすと同時にディアスの掌から俺に向かって矢のような鋭い光が放たれた。
瞬時に間合いをとって俺は防御のためのシールドを張り巡らせる。
人を攻撃する力を封印したかった俺は防御の力に磨きをかけてきた。
だから至近距離からのディアスの攻撃も俺にとってはどうってことはない。
「てめぇ、どういうつもりだ!」
シールドの中からディアスに向けて声を掛ける俺に更に追い討ちを掛けるようにデュランの力も放たれた。
2人相手だと…。
「上等じゃねぇか。」
手加減したらやられる。
手を抜いて勝てる相手じゃねぇ。
だけど、ずっと力を押さえ込んで生きてきた俺には力の解放の仕方も制御の仕方もわからねぇ。
ましてや、騎士の力がどれだけのものなのか俺にもわからねぇ。
デュランやディアスを傷つけたくねぇ。