only one
大きな爆音が響き渡る部屋の中で俺はやはり攻撃することはできなくて、
「防御だけでよろしいのですか?」
デュランの冷たい声にイライラと神経が逆撫でされる。
「かかってこいよ!防衛騎士殿!」
続いてかけられたディアスのからかうような声に俺は拳を硬く握りしめた。
「上等じゃねぇか!」
ずっと力を封じ込めてきた。
後継者に相応しくない振る舞いをしてきた。
そうすることで俺は守りたかったんだ、俺の家族を…
「てめぇの我慢じゃ遥夢を守れねぇんだよ!
びびってんじゃねぇよ!防御で防ぐだけがてめぇの戦いなのか!
てめぇの遥夢への責任や覚悟はそんな生っちょろいものだったのかよ!」
遥夢…。
遥夢遥夢遥夢…。
「うるせぇ!」
ディアスに掛けられた言葉は最もで、俺は叫びながら掌に溜まった力を一気に解放した。
わかってるんだ。
我慢や制御を続けていては遥夢を守るなんてできねぇって…。
わかってるんだ…。
今はもう我慢や制御が必要ないんだって…。
シールドの中で解放した力は光の壁を突き抜けて真っ直ぐにデュランとディアスに向かう。
矢のように鋭く尖った光を避けながら移動する2人、その光は爆音を響かせ煙を上げながら壁をボロボロに崩していた。
「やればできんじゃねぇか…。
人を国を守るのは優しさだけじゃ守れねぇんだよ。
今の力の出し方を覚えてやがれ。」
煙がはれて視界が広がると体中血まみれになったディアスが俺の側まで歩み寄り言葉を落とした。
崩れ落ちようとするディアスの体を支えながら俺は彼に謝ることしか出来なかった。
俺の力がディアスを傷つけたのか?
友達を傷つけてしまう俺の力はやっぱり必要ない…。