only one
ディアスを腕に抱えながら、ガックリと肩を落とす俺の前に跪くデュラン。
「ディアスの言うように荒療治になってしまいましたが騎士としての力を使えるようになりましたね。」
傷だらけの体を折り曲げながら頭を深く下げる。
「やめてくれ。俺に騎士の資格はない。お前たちを傷つける力が騎士の力なんかではないだろう!」
俺の言葉にフッと力を抜くようなディアスの笑い声が聞こえた。
「まだそんなこと言ってんのか?お前、自分がそれくらいの力しか持ってねぇと思ってんのかよ。ちゃんと制御できてんじゃねぇか。
お前が本気を出したら俺らは多分死んでた。
それを覚悟で煽ったんだし...。
けど、お前を信じてたから荒療治?できたんだぜ?。」
「マツ様、ディアスの言う通りです。この部屋は今ある技術を全て集めて作られた部屋です。部屋を破壊する力は今この世界にはあなた以外にいない。
だからあえてこの訓練室を作ったのです。あなただけのために...。
その部屋を破壊する力を放ちながらも我々の命は奪われなかった。
それは無意識にあなたが私達を傷つけたくないという気持ちがあったからなのですよ。
これで証明されました。
強大な力を持ちながら、あなたはとても優しい。
本当に選ばれし騎士だということを....。」
「けど。俺はそんなこと意識しちゃいなかったんだ。
一歩間違えればお前たちに取り返しのつかないことをしてしまったかも知れない。
そんな力を持つ俺が伝説の騎士?
笑えねぇよ...。」
二人の言葉を俺は素直に聞くことはできない。
遥夢を助けたいという気持ちだけで二人のことは考えてなかったんだ。
命を奪わなかったのは偶然だったのか、それとも二人の力が強かったからか...。
そんな風にしか思えない。